転職者の平均年齢が高くなっている?
転職市場で年齢が上がってる理由
転職者の年齢
一般的に転職を行う人は若い人が多いですし、転職に関する求人ニーズも若い人に集中していると思われています。しかし、その様な認識は過去のものとして現在には通用しないものなので、考えを改めた方が良いでしょう。某転職エージェントが近年約8年間の間に、自社サービスを利用して転職したビジネスパーソンを対象とした研究結果を発表しました。それによれば、2015年頃に自社のサービスを用いて転職を成功させた人の年齢は32.1歳が平均で、これは過去最も高い年齢になっているのです。
特に近年は40歳以上で転職を成功させる例の増加が著しく、例えば2012年には40歳以上の転職者は全体の6.4%だったのが、2015年にはその2倍以上の14.3%にまで拡大しています。
仕事の専門化
どうして上述のように転職時の年齢が上昇してしまったのか、その要因の分析も行ってみましょう。
まず非常に大きなポイントは、ここ十数年の間に進んだIT化などによる仕事の高度化です。ITの登場は社会のあらゆることを変えていきましたが、単純な事務作業や事務負担の軽減や、これまでであれば得られなかった様なデータの入手、起こりえなかったマッチングを可能としたことで、新たなニーズや新たな仕事を誕生させました。そうしたことが多くのビジネスパーソンに対して仕事の要求水準の上昇という形で影響してきています。そしてそうした仕事のニーズの難化に合わせるかの様に、転職市場で内定を獲得する人の年齢も上昇しています。そうしたニーズに対応できるだけのスキルを身につけている人間は、必然的に年上になってくるからです。
管理職の不在
またその他にも見逃せない要因が存在し、多くの企業で管理職はプレイング・マネージャー化してしまっており、純粋なマネジメント専門の管理職が不足してしまっていることの影響も大きいでしょう。このため多くのビジネスパーソンが自らのマネジメントを自らで行わなければならず、若い人ほどそのことに苦戦してしまいがちです。また管理職を募集する場合も、純粋な管理職ではなくプレイング・マネージャーとして募集してしまっているため、管理職としての能力に加えて前線での活躍も期待されるので、何れにしてもより高度な人材が求められ、内定を得られる人がそうした高度な要求に応えられる年上の人間ばかりになってしまうのです。
採用のいい加減さ
また最後に、多くの企業で組織運営そのものがいい加減であることの影響も見逃せません。このため新卒や第二新卒など若手の採用バランスが崩れており、結果として年上の人間で補充するしかない場合も多いからです。